2017.08.09(水)その他

世界選手権、記録&データからみた展望&楽しみ方/男子4×100mR

<日本代表>
男子4×100mR サニブラウン アブデルハキーム、多田修平、ケンブリッジ 飛鳥、飯塚翔太、桐生祥秀、藤光謙司
予選 8月12日(土)10時55分(日本時間18時55分)
決勝 8月12日(土)21時50分(同13日5時50分)
8月4日から13日までの10日間、ロンドンを舞台に16回目となる世界選手権が行われる。

ここでは、過去の記録やデータをもとにその見どころや楽しみ方を紹介する。



予選が12日10時55分(日本時間18時55分)、決勝が8月12日21時50分(同13日5時50分)。

昨年のリオ五輪で日本チームがアメリカ(レース後に「失格」)に先着して「銀メダル」を獲得し、陸上関係者のみならず国民的なレベルで注目されることになった。今回のロンドンでの「金メダル」を期待する人も多いことだろう。

世界選手権が始まった1983年以降の「五輪」と「世界選手権」での日本の成績をまとめると以下の通りだ。

1983年    不出場
1984年 五輪 不出場
1987年    準落 39.71
1988年 五輪 準落 38.90 =アジア新
1991年    予落 39.19
1992年 五輪 6位 38.77 =アジア新
1993年    準落 39.01
1995年    5位 39.33(予選で38.67のアジア新)
1996年 五輪 予落 失格
1997年    準落 38.31 =アジア新
1999年    不出場
2000年 五輪 6位 38.66(準決で38.31のアジアタイ)
2001年    4位 38.96/注1
2003年    6位 39.05/注1
2004年 五輪 4位 38.49
2005年    8位 38.77
2007年    5位 38.03 =アジア新
2008年 五輪 3位 38.15/注2
2009年    4位 38.30
2011年    予落 38.66
2012年 五輪 4位 38.35/注1
2013年    6位 38.39
2015年    予落 38.60
2016年 五輪 2位 37.60 =アジア新
・「注1」=上位国のドーピング違反で繰り上がり
・「注2」=上位国のドーピング違反で今後、繰り上がりの可能性あり

「不出場」だった3回を除き、世界選手権と1988年以降の五輪には21回出場し、メダルが2回、8位以内入賞は13回を数え「入賞率61.9%」だ。21世紀以降に限れば13回中の11回が入賞で、入賞率は「84.6%」にもなる。2000年から09年には、五輪と世界選手権で8大会連続入賞も果たしている。

「世界選手権」に限ると、出場した13大会中7回入賞で入賞率は「53.8%」だが、21世紀以降では8回中6回入賞で入賞率は「75.0%」である。

これまで15回の世界選手権での入賞回数の上位国は以下の通り。
1)10 ジャマイカ
2)8 アメリカ、ドイツ
4)7 イギリス、カナダ、日本
7)6 イタリア、ブラジル、フランス
10)5 トリニダードトバゴ、ポーランド

なお、アメリカは、メンバーの走力からして、「普通に走れれば、メダル率100%」であろうが、15回のうち7回が「失格(3回)」か「途中棄権(4回)」に終わっている。

今回の代表にはならなかった選手も含め、2017年の日本の100mは、10秒0台が6人もいて、10傑平均は10秒117(7月31日現在)となった。従来の最高であった2016年の10秒181をシーズン前半にして大きく上回っている。



それと比較するために、ロンドン世界選手権に出場する16カ国について、7月30日判明分の2017年の100mのシーズンベストを以下にまとめてみた。

なお、10秒05で2位の山縣亮太(セイコー)は今回の代表にはなっていないが、他国と同じ条件で比較するためにデータに含めた。同様に他国にも上位選手で今回の世界選手権の100mや400mRの代表になっていない選手の記録が含まれているかもしれない。また、参考までに「補欠」も含めた6位までの記録と「10傑平均記録」も付記した。「四継」を占うための目安になりそうだ。なお、今回出場資格を得られなかった南アフリカのデータも参考までに付記した。

<2017年・国別の100m上位4人の比較>
・「上位6人の記録」と「10傑平均」も記載。
順)4人計(4傑平均)国名      1位  2位  3位  4位  5位  6位  10傑平均記録
1)39.63( 9.908)アメリカ     9.82  9.93  9.93  9.95  9.97  9.98 1) 9.961
2)39.82( 9.955)ジャマイカ    9.90  9.95  9.98  9.99 10.02 10.06 2)10.029
3)40.11(10.028)イギリス     9.98  9.99 10.06 10.08 10.09 10.12 3)10.093
4)40.23(10.058)日 本     10.04 10.05 10.06 10.08 10.08 10.08 4)10.117
5)40.45(10.113)カナダ     10.01 10.12 10.15 10.17 10.18 10.20 5)10.213
6)40.49(10.123)トリニダード・トバゴ 10.08 10.10 10.15 10.16 10.19 10.28 6)10.232
7)40.55(10.138)フランス     9.97 10.18 10.19 10.21 10.28 10.35 8)10.269
8)40.60(10.150)中 国     10.06 10.09 10.21 10.24 10.29 10.32 7)10.261
9)40.72(10.180)キューバ    10.00 10.17 10.26 10.29 10.36 10.36 10)10.311
9)40.72(10.180)トルコ      9.97 10.10 10.17 10.48 10.51 10.56 15)10.435
11)40.74(10.185)アンティグア・バーブーダ10.05 10.17 10.24 10.28 10.32 10.62 16)10.477
12)40.82(10.205)バルバドス   10.16 10.17 10.22 10.27 10.37 10.38 12)10.387
13)40.87(10.218)ドイツ     10.10 10.23 10.26 10.28 10.29 10.30 9)10.282
14)41.12(10.280)バハマ     10.18 10.21 10.35 10.38 10.38 10.46 14)10.406
15)41.14(10.285)オーストラリア 10.22 10.27 10.32 10.33 10.36 10.40 11)10.365
16)41.20(10.300)オランダ    10.19 10.31 10.32 10.38 10.38 10.40 13)10.396
-----------
不出場 39.87( 9.968)南アフリカ 9.92  9.94  9.95 10.06 10.08 10.12   10.090

上記の通り、「上位4人の合計記録」で日本は16カ国中の「4位」に位置する。代表になっていない山縣を除くと合計タイムは0秒03ダウンして「40秒26」になるが順位は変わらない。上位4人の合計記録で日本を上回る南アフリカが出場しない。

100mの合計タイムの比較では日本は「メダルに届かない」ことになるが、そこは日本の「お家芸」ともいえるバトンのパスワークでカバーすることになる。

下記のデータは、日本が銀メダルを獲得した2016年・リオ五輪の決勝を走った8チームの各走者のリレー直前までの100mのシーズンベストの合計と実際のリレーのタイムを比較したものだ。なお、「失格」となったアメリカとトリニダード・トバゴのリレーのタイムも参考までに記載した。

順)記録  国名   100m合計(差) 1走  2走  3走  4走
1)37.27 ジャマイカ 39.60(2.33) 9.92 9.93 9.94 9.81
2)37.60 日 本 40.52(2.92)10.05 10.36 10.01 10.10
3)37.64 カナダ 40.37(2.73)10.16 9.96 10.34 9.91
4)37.90 中 国 40.70(2.80)10.30 10.08 10.08 10.24
5)37.98 イギリス 40.32(2.34)10.01 10.08 10.04 10.19
6)38.41 ブラジル 40.86(2.45)10.21 10.11 10.28 10.26
DQ (37.62) アメリカ 39.58(1.96) 9.97 9.80 9.97 9.84
DQ (38.09) トリニダード・トバゴ 40.22(2.13)10.07 9.99 10.19 9.97

上記の通り、100mのシーズンベストの合計で日本は6番目。しかし、見事なパスワークで100mの走力の劣勢をカバーして「銀メダル」を手にしたのだった。



200mを得意とし、100mを走ることがあまりなかった2走・飯塚翔太(ミズノ)の2016年シーズンベストが10秒36で計算されているが、機会があれば実際にはもっと走れたはずだろう。ということで、その時点での飯塚のベストであった10秒22(2013年)で計算すると合計は「40秒38」となる。しかし、それでも8チーム中の6番目であったことに変わりはない。

飯塚の記録を10秒22として計算した2016年の「合計40秒38」に対し、今回エントリーの上位4人のそれは「合計40秒26」。「たら、れば」の話になるが、2走以降の加速とパスワークによる短縮タイムが前回並みとすれば、リレーは「37秒48」となる計算だ。

2007年の大阪世界選手権で38秒03のアジア新記録をマークして5位だった時のリレー直前までの4人の100mシーズンベストの合計は「41秒15」でその差3秒12。2008年・北京五輪で銅メダル(38秒15)の時は、「合計41秒17」でその差3秒02。これらと同じく3秒0~3秒1くらいを稼ぐことができれば、今回は「37秒1台~2台」で走れても不思議ではない計算になる。

五輪を含む至近5大会の1~4番目でフィニッシュしたチームのタイム(カッコ内は失格になったチームのタイム)は下記の通り。
 年     1位  2位  3位  4位
2007年    37.78 37.89 37.90 37.99
2008年 五輪 37.10 38.06 38.15 38.24
2009年    37.31 37.62 38.02 38.30
2011年    37.04 38.20 38.49 38.50
2012年 五輪 36.84 37.04(38.07)38.12
2013年    37.36 37.66(37.80)37.92
2015年    37.36(37.77)38.01 38.13
2016年 五輪 37.27 37.60(37.62)37.64

このデータからすると、ジャマイカやアメリカに「36秒台」とか「37秒0台」で走られると厳しいが、2013年以降の至近3大会のレベルであれば、日本チームの「金」も十分に「射程圏内」といえそうだ。


※記録情報は特に記載がない限り2017年7月31日判明分

野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

写真提供:フォート・キシモト

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