2017.05.01(月)委員会

日本陸連栄養セミナー2017「めざせ骨太アスリート」を開催しました

日本陸連栄養セミナー2017「めざせ骨太アスリート」を開催しました。 

4月9日、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、「日本陸連栄養セミナー2017」を開催しました。昨年度、第1回の「陸上選手の貧血について考える」に続き、第2回目となった今回は、「めざせ、骨太アスリート」をテーマに骨に関する、講演、パネルディスカッションを行いました。
骨のケガに関する現状、基礎的な知識や食事からの予防や改善などについての内容で、特に注意したい点として挙がったのが「ジュニア期(成長期)」や「女性の月経と骨」という問題点です。特に競技者だけでなく指導者への提言となるジュニア期の練習や女性アスリートへの対応、身体面の危険性についての考え方も紹介されました。
 
開会挨拶:尾縣貢専務理事

冒頭の挨拶で尾縣貢専務理事は、「30数年前当時、本から栄養学の勉強しかなく思うような体づくりができなかった。しかし、現在は多くの選手が栄養サポートを受けることができ、現オリンピック選手たちは食事を重要視している」と述べ、一方で「ジュニアアスリートにおいては未だに無理な減量を行い、それが怪我や心理状態などにつながり失敗をしたアスリートを多く見ている。」という問題点を示唆。これらのことから「トップのみならず、全ての陸上選手に栄養サポートをしていくことが重要である」ことを訴えました。

1.教育講演「陸上選手に多い骨の障害と原因」鳥居俊氏

鳥居俊氏から「陸上選手に多い骨の障害と原因について」医師の立場から、陸上選手に発生しやすいケガ、特に疲労骨折について好発部位、なぜ起こるのか、実際例、起こりやすい選手、骨の強さとの関係性、骨太の選手になるにはという項目で解説しました。
【好発部位】
・陸上選手に発生しやすい怪我は種目によって違いがあるが、特に、長距離、競歩などは疲労骨折が多い。また短距離選手であっても足根骨の疲労骨折や軽傷の肉離れなどでレースに参加できなくなることも実際あった。
・長距離は脛骨、中足骨に多く、短距離は脛骨、舟状骨に多いが、どこの骨にも起こりうるため、痛みがあったらすぐに診察に行くことが重要である。
【なぜ疲労骨折は起こるのか】
・トレーニングは競技特有の動作を繰り返し行うため、同じ部位に同じような負荷がかかり、継続で亀裂が入り、それが疲労骨折となる。
・100mの選手では40〜50歩(×体重の6倍)、ハーフでは15000〜20000歩、フルマラソンではその倍×体重の2倍の力が繰り返し加わることになる。日々の練習の中でも微細な損傷が起こっている。それが栄養や休養などによって修復されれば疲労で済むが、長い期間において蓄積し、負荷を受ける骨の強度が低くなっていれば、疲労骨折が発症する(走りからなどの問題もあるが)。また、負荷・強度・回数の問題、そして骨の強度やフォーム等も関係があり、少ない練習量でも疲労骨折が起こり得る。
【疲労骨折の実際例】
○女子マラソン選手 第3中足骨
・中足骨は陸上選手の疲労骨折の2番目に多い部位。基本的には治りやすいと言われているが、根元でおこる疲労骨折については、靭帯とのつながりなどの影響で通常よりも治りにくいとされる。
○女子長距離選手 仙骨
腰が痛いという選手で、仙骨を疲労骨折している場合がある。背骨の一番下の部分に痛みがある場合に疑う。また立ち上がるのも辛いほど痛い場合もある。仙骨は血流が良い骨であるため、1ヶ月あれば治ることから、復帰計画が立てやすい。
○女子長距離選手 恥骨
・男子では少なく、女子に多い。恥骨は両側が折れると、常にどちらかに負荷がかかるため、治りにくい箇所。治癒に約3ヶ月を要する。
○男子長距離選手 脛骨
・すねの痛みはシンスプリントを疑うが、そうでないこともあるので注意。
・脛骨下部の疲労骨折は、上部よりもやや治りにくい。
部位によって治りにくい、治りやすいがあるので専門医に確認すると良い。

【疲労骨折を起こしやすい選手は?】
・月経異常がある選手は、疲労骨折を起こす場合が明らかに多い。
・男子の高校駅伝選手にも疲労骨折が多い。高校1年生で多く、高校に入ると中学に比べて練習量が多くなり、また受験等でブランクがあって急に始めることも要因。
・骨密度が低いことが疲労骨折を起こす原因と言える。
・骨の強さに関係しているのは?
 1.遺伝:1つの遺伝子により決まっているわけではないが、強い家系、弱い家系があると言える。
 2.年齢:成長期に強くなり、年を取ると弱くなる。
 3.体格:大きいと強く小柄だと強くなりにくい。
 4.性別:男子の方が強い
 5.運動:骨を刺激し強くする。
 6.食事:骨の材料
 そのほか、睡眠、日光など様々な要因がある。
・ジュニア期に骨を増やすことが重要である。増やせる時期に増やしておかなくては、大人になってから骨を増やすことは難しい。
・基本的に負荷が加わらないと骨は弱くなってしまう。怪我で動かせなかった部位をいきなり動かすと再度疲労骨折を起こす可能性がある。
・陸上選手の疲労骨折で最も多く発症している年齢は男子で16歳、女子で17歳ころ。高校1~2年生で多く発症している(外来を受診している選手を対象とした調査)。インターハイ選手における疲労骨折に関して調査した結果、女子では高校1~2、男子では中3、高1、高2くらいで多くなる。
・骨の強度が低下する要因が何かを考えると、骨粗鬆症に対して考えられたものをみて見ると、ビタミンDやKの不足、ホルモン(エストロゲン)の欠乏などが挙げられる。
【陸連育成メディカルチェックにおける長距離走選手の骨密度】
・一般の男女の標準値に対して、長距離選手の腰椎骨密度は低い傾向がある。短距離選手は一般人よりも高い。
・女子育成選手では、無月経の選手の方が、骨密度が低い傾向あり、ホルモンや低体重が要因であることが明らかとなっている。中学生年代のトレーニングの仕方が重要であり、一般的に早い段階で、トレーニングを取り入れると初経年齢が遅くなる。初経月齢が遅いと腰椎の骨密度が低いということが明らかである。また、無月経状態が長くなればなるほど骨密度が低くなることがわかっている。中学生から過度のトレーニングさせるのは良くないのではないか。
【骨太な選手になるためには?】
・一般人は、1年間に20〜30%の骨が新しい骨に入れ替わり、5年経つと全身の骨が生まれ変わっている。アスリートは一般人より骨の形成・吸収が高まっている事がわかっている。そのため、材料となる骨の成分を多く摂取する必要がある。
・発育期は一生の骨の量を決める重要な時期である。骨はとくに男性で12〜14歳で多く作られる(女子はピークが少し早い)。ピークの前後2年頃で一生のうちの30〜40%の骨量を蓄えることになる。また、身長の増加のピークの1年後に一番骨を蓄える時期がくる。骨を増やせる時期(発育期)に骨が増えやすい生活をする事が重要である。
・アスリートの場合は運動が過剰になりすぎる事で、女性選手の無月経などマイナスに働く事があるため、トレーニング量を決める事が重要である。女子選手の場合は月経周期を確認する事でトレーニング量が過度かを見る事が出来るが、男子選手の場合はわかりにくい。
・骨密度を高くするのに必要な栄養素は、炭水化物、タンパク質、ミネラル、ビタミン類であるが、色々な食べ物を偏りなく食べる事が大切。
・十分な睡眠をとる事も重要である。近年、睡眠時間が短いジュニア選手が多く見られるため、睡眠時間を確保することも重要視すべきである。

【質疑応答】
Q1.疲労骨折ハイリスク選手を検出する事が出来ないか?
疲労骨折を起こす前に見つけて防ぐ事が重要である。骨代謝マーカーが高いと低い骨密度、性ホルモンが低いと低い骨密度、低い骨密度だと疲労骨折の頻度は高い傾向にあるが、高い骨密度でも疲労骨折を起こす選手もいる。つまり、骨密度だけで疲労骨折の説明する一つにはなるが、全てを説明することはできない。走り方やトレーニングなど様々な要因がある。大学時代に疲労骨折を数回起こしていた選手が社会人になってから骨密度が変わらないにもかかわらず、疲労骨折が今の所起こっていないということもある。ただし、骨密度が低い選手の方が確率的には疲労骨折を起こす可能性が高いということは言える。 

Q2.ピルを使う選手は影響があるか?
ピルを飲んでいることで骨密度にマイナスになることはない。むしろプラスになるという報告が海外で出ている。

Q3.骨太な選手についてカルシウムの推奨量は一般人よりも多く取った方が良いのか?
示したデータは一般人のものなので、アスリートがどれくらい取れているかのデータはない。推奨量についてはアスリートだと多く摂取する必要があることは確かである。

Q4.故障していて骨密度が下がったとして、どれくらいの期間で骨密度が故障する前に戻るのか?
経過をおってとったデータは少ないが、1ヶ月ごとに追ったデータでは、3〜6ヶ月程度かかっていた。その間に受傷した患部に負荷をかけることはできないが、違う部位に刺激を与えるなどの必要がある。 

Q5.カルシウムの推奨量の根拠はどこから出るか?
多くの疫学調査の結果、健康状態が良い人たちを対象として調査したものの中央値を推奨量としている。アスリートに関しては、汗の中に含まれていることもあり、1000〜1500mg程度摂取すべきではないかと考えている。

Q6. 疲労骨折をしやすい部位について、フォルテオという薬を処方された選手がいたが、骨密度を上げる薬が実際にあるのか、使われているのか、その薬を使うことの副作用などはあるのか?
骨粗鬆症の治療薬は基本的には骨粗鬆症になりやすい年齢の人を対象に作られているため、若年者に対しての安全性は保証されていない。骨吸収を抑制する作用がある薬が処方される事が多いが、骨はあるが古い骨が溜まっているということになる。実際に骨密度が高くなったとしても、骨の強度が保証されないのではないかという事が懸念されていたが、薬を飲むことによってアスリートについてのデータはない。海外選手に対しては、疲労骨折が治った、骨密度が強化されたという報告はあるが、副作用についても報告はない。

パネルディスカッション「ジュニアの障害予防について考える」

コーディネーター 
鳥居俊氏(医事委員会副委員長)
パネリスト
鎌田浩史氏(医事委員)
安養寺俊隆氏(パナソニック女子陸上部監督)
鈴木いづみ氏(日本陸連栄養士会)

パネルディスカッションは、医事副委員長の鳥居俊氏が司会を務め進行しました。パネリストとして、スポーツドクターの立場から鎌田浩史が、指導者の立場から安養寺俊隆氏が、公認スポーツ栄養士の立場から鈴木いづみ氏が、順に登壇、最初にそれぞれの立場から述べられた後、ディスカッションが行われました。

「趣旨説明と講師紹介」:鳥居俊氏
陸上においてはトップ選手を作る過程のジュニア選手でどのように対応していくかを考えていくべきである。
トップ選手においては、これまでもハードなトレーニングを行なってきた選手が多い事が考えられ、それが影響して骨密度が低い選手が多い傾向にある。今後はこのような状態を防ぐための体制づくりを考える必要がある。今後のジュニア選手の体作りについて各先生方のお考えを頂く。

「ジュニアの障害予防」:鎌田浩史氏

スポーツドクターの立場から、ジュニア期(小~高校生)の障害について実際のアンケート結果を基に、鎌田氏より講演がありました。

・子供(小・中学生)の運動器の特徴として、力学的ストレスに弱い。運動器の成長については、身長が一番伸びた時期よりも少し遅れて骨が増加する事が明らかになっている。そのため、身長が伸びている時期はまだ骨がもろい可能性がある。そこを考えて栄養補給をする必要がある。
・種目の開始年については、ヨーロッパではガイドラインが設けられており、陸上競技については11歳から開始する事が進められている。子供達自身がスポーツを楽しんで理解して正しい知識を持って行う事が重要である。(子供は大人のミニチュア版ではない)
・身体や骨などの発育発達も見て量や内容についての安全なトレーニングの指標を出すためにインターハイ(2013年度)に出場した選手約2300名と全国高校駅伝大会(2015年度)約500名に出場した選手を対象にアンケート調査の結果は次のとおり。
  ・スポーツによる外傷・障害は約8割にあり、疲労骨折については駅伝に出場した選手の方が多い。
  ・オーバートレーニング症候群の自覚があった方が、また休日がないほうが、疲労骨折の発生率が多い。
  ・疲労骨折時の月経状態を見ると、半数以上が無月経。さらに、初経が遅かった女子選手において疲労骨折の発生頻度が高い。中1、中2に無月経の経験があった選手において、そして複数学年で無月経の経験がある選手で疲労骨折の頻度が高い。
  ・食事制限があった選手の方が、男子選手で疲労骨折を起こしやすいため、食事制限はスポーツを行う上では必要なことではあるが、正しい知識がない状態でただ食事制限を行うと疲労骨折のリスクが高くなるのではないかと考える。

女性アスリートの三主徴(無月経・骨粗鬆症・エネルギー不足)については、エネルギー不足が原因となり、無月経がおこり骨粗鬆症に陥ってしまう可能性があるため、食事の摂取が重要になる。

 
「指導者の立場から」:安養寺俊隆氏 パナソニック女子陸上部監督

指導者の立場から骨の障害を起こさせないために取り組んでいることについて講演がありました。

女子実業団選手は疲労骨折が多いと感じている。女子選手が最もストレスを感じるのは、怪我をして走れないこと、食事を我慢(制限)することである。そのため、「怪我しない、貧血にならない、風邪ひかない、しっかり食べて丈夫な身体、骨を作って勝とう」。また、怪我をさせないために選手の心身の状態を把握し、内部、外部のスタッフとも情報を共有している。
・状況を把握する手段は下記のとおり。
<年度はじめ>
・骨密度、身体組成を測定(DXA法)
・メディカルアンケートで疲労骨折や怪我の既往歴の確認(貧血、月経、サプリメントなど)
ドーピングに気を付けるようスポーツファーマシストなどに相談すること、また服用する際は必ずスタッフに報告

<日常的>
・日誌からコンディションチェックやコメント欄から心の状態などを読み取り、オーバーワークにさせない。
・DXA法で疲労骨折との相関が高い腰椎の骨量を観察

・体脂肪が多い選手は、腱や靭帯の炎症が起こる可能性があるため、1ヶ月で1kgの減量を目標にする。この際、食事量を落としすぎると疲労骨折などの怪我につながる事があるため、活動量を増やすよう勧めている。
・続発性無月経や3ヶ月以上月経が停止している場合は、婦人科を受診するように促している。
・多くの品目、栄養素をバランスよく食べるように指導している。特に発育期の食事が重要であると考え指導をしている。
・夏の鍛錬期や冬の期間は少々体重が増えてもストレスをためずにトレーニングをおこなうようにしている。

「公認スポーツ栄養士の立場から」:鈴木いずみ氏(日本陸連栄養士会)

栄養士の立場から、ジュニアアスリートの骨の健康を高めるための食事・栄養素について講演がありました。

ジュニアスリートの骨の健康を高めていく上では栄養面が欠かせない。
・骨に関わる栄養因子としては、カルシウム、タンパク質、エネルギー摂取 (過度な制限により骨粗鬆症のリスクが高まることから、十分に補給)、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、リン、マグネシウム、ナトリウムなど多くある。
・2016年3月ACSM、アメリカ栄養士会とカナダスポーツ医学会から新しい指針では、カルシウムについて、低骨密度や疲労骨折のリスクは低エナジーアベイラビリティーによって増加することが示されている。そこでは、女性アスリートの場合は、低カルシウム摂取を伴う低エナジーアベイラビリティーや月経障害のあるアスリートは、骨の状態を最適にするために、1500mgのカルシウムと1500〜2000IU(37.5〜50μg)のビタミンDの摂取が必要であるとされている。
このデータを日本人アスリートに当てはめて良いか検討の必要があるが、日本人の食事摂取基準値の目安量である、5.5μgでは少ないのではないかという議論が活発である。
・直近の国民健康栄養調査結果での12〜14歳の男子のカルシウム摂取状況は、食事摂取基準値よりも200~300mg不足している。この分を確実に補うために例えば、牛乳コップ1杯、カップヨーグルト2個、スライスチーズ2枚(それぞれカルシウム約200mg)をプラスする。他にも魚(しらす、桜えび、いわし丸干しなど)、大豆製品(生揚げ、高野豆腐、がんもどきなど)、青菜(モロヘイヤ、つまみな、小松菜など)にもカルシウムは多く含まれているのでさまざまな食品を活用することが重要である。
・ビタミンDを多く含む食品は、主に魚が供給源になるため、子供には魚をメインに食べさせると良い。魚と乳製品、大豆製品で、カルシウムとビタミンDを摂取するように献立を組み立てると1日に必要な量を摂取することができる。
・カルシウムの吸収率は低く、牛乳50%、青菜17%、小魚33%と言われているので、カルシウムの吸収を高める因子としてのビタミンDやクエン酸、食酢、乳糖や乳タンパクを合わせて食べると良い。また、過不足のないエネルギー摂取と栄養素摂取が重要であり、穀類や野菜、乳製品が少ないと骨密度が少ないことがわかっている。

これらのことから、骨太アスリートになるための食事は、
1.カルシウムの十分な摂取、
2.カルシウムの吸収促進に配慮した食事を摂取すること
3.ビタミンD摂取を意識すること
4.十分なエネルギー摂取とバランスの良い食事
を意識し、欠食しないこと、極端なエネルギー制限を伴う減量を控えること、野菜や乳製品が不足しないようにすること、小魚や青菜大豆製品、海藻を毎食1品以上摂取することが重要である。

「総合討論と質疑応答」

総合討論に入り、「ジュニア期の選手の問題点について」それぞれの立場でご回答いただきました。

鎌田氏
最も大きいのはシニアと違って特徴的な障害が発症する可能性があること、練習量についてどこまでが限界か、個々の差が大きくなるため、どこまでを安全な領域とするか指導方法が難しい。さらに障害が起きたとき、どのように対処するか、本人は未熟な為指導者の技量が問われる。選手は指導者が言うことが全て正しいと思ってしまうため、サプリメント摂取、練習について指導者が十分なエビデンスを持って指導しなくてはならないと考える。
安養寺氏
実業団に入ってくる選手や中高生の試合を見ていても、勝利至上主義が強く、過度なウエイトコントロールやオーバートレーニングの傾向がある。このような考え方が、障害の原因になっているのではないかと考える。女子選手は特に無月経や月経異常なども問題を抱えて入ってくる選手もいるため、まずは丈夫な体を作ってから、強化するように指導をする。発育期に偏った食事、エネルギー不足、オーバートレーニングは改善する必要がある。。
鈴木いづみ氏
平成27年の国民健康栄養調査の結果をみると、12〜14歳のカルシウム摂取は600mg~650mgを超えるが、15〜17歳になると途端にカルシウム摂取量が約500mgに減少する。15歳以上になると保護者の食への関与が離れてくるため摂取量が減る。12〜14歳については保護者への教育が重要であるが、15歳以上になると自分自身で食事を管理できる能力がつくよう、働きかけをしていく必要があると考える。

次にそれぞれのお立場からの要望について述べられました。
「スポーツドクターの立場としてジュニアの指導者や栄養士への要望」
鎌田氏
高校の先生は高校時代の選手しか見ていないので、その時に何も起こらなければその先のことを考えることはない。ドクターとしては将来その選手がどうなるかと言うことを含めて啓蒙していかなくてはいけないと考える。障害の予後について、指導者に知ってもらう必要があると考えている。小学生や大学生などについても調査を進め、情報を掲示し、啓蒙していく必要があると考える。栄養については食環境の変化に伴い、縦の流れを啓蒙するような指導をお願いしたい。

「指導者の立場としてジュニア選手をみるスポーツドクター、栄養士への要望」
安養寺氏
ジュニア期は、年齢にあった強化をすることで、その選手の選手生命を伸ばすことになるため、発育発達を止めるような指導はしないでぼしい。特に長距離はジュニアも年間を通してトレーニングや試合があるため、走りながら心と体をリラックスさせる期間を作るべきであると考える。また女子選手は、特に高校生では婦人科系にいきにくい場合もあるが、婦人科系を受診する大切さを啓蒙して欲しい。

「公認スポーツ栄養士として、スポーツドクターやジュニア指導者への要望」
鈴木氏
20台半ばの選手の食行動を変えるのは難しいが、中学時代に尊敬する指導者や家族から言われたことはずっと残る。なんとなく言った言葉が大人になってからの食行動にも影響してくるため、特にジュニア選手の指導者は責任を持って発言をして欲しい。例えば、ご飯にネガティブな印象を与えられた長距離選手はその印象が続き結果としてエネルギー不足になり貧血や疲労骨折に繋がることもある。ドクターに対しては、疲労性骨折を繰り返す選手に対して、血液検査で25(OH)D(ビタミンD)を測定したところ、13、3(80以上が目標)であった。フェリチンだけでなく、これらの項目についても研究を進め、評価を検討して欲しい。
鳥居氏
測定が難しい場合もあるが、陸連としてビタミンDについても着目していきたい。

次に「問題点を解決するために何が変われば良いか?なにを変えれば良いか?」について各お立場で述べてました。
鎌田氏
ドクターとして、ジュニア期に障害を起こした選手、起こしそうな選手に対してのアプローチ方法について自分たち自身がスキルをあげ、啓蒙していけるようにしたい。また小学校や中学校にもトレーナーを送り、どのようなことが問題担っているか拾い上げているところであり、現場から意見を上げて欲しい。相談しやすい状況を作ることが重要である。
鳥居氏
ジュニア期は発育状況も個人差があるので、その個人の発育に合わせた適切な内容を伝えることも大切であると付け加えたい。
安養寺氏
高校から実業団に入るときに一気に体型が変わる選手がいる。それだけ食べることを我慢してきた反動が出る。食べることに嫌悪感を抱いている選手も多くいるため、食べることの重要さを中高時代から伝えて欲しいと思う。
鈴木氏
日本陸連で行なっている食育プロジェクトを行なっており、全国で講習会などを行なっている。食育プロジェクトに関わる栄養士をもっと増やし全国に広めていきたい。

【フロアーからのご質問】
Q1.オーバートレーニング症候群と疲労骨折のスライドは男女別でしょうか。それとも男女込みでしょうか。
男女別でも調べているが、男女の違いについては説明できない。食事制限と疲労骨折については男女差については差がありそうだ、と考えてもらっても良い。アンケートの内容については食事制限をしていますか?と言う聞き方になっている。

Q2.骨代謝マーカーを活用するにあたって、若年者やスポーツをしている人を対象にする場合、スポーツをすることにより骨代謝が高まっているアスリートでどのように評価すれば良いか。
骨代謝については個人の推移を見て判断すべき。アスリートの中でも年齢が若いと回転が早くなるため、数値が高くなる、さらに個人差がある。骨質マーカーについては何件か研究が出てはきているが、これと言ってエビデンスはない。骨質マーカーも高校生の値は高い。それらについても考慮する必要がある。

疲労骨折予防10カ条について
最後に、今回のテーマである「めざせ 骨太アスリート」のために、日本陸連が作成した「疲労骨折予防10か条」が公表されました。アスリートの骨の健康確保のため、ケガの予防や早期発見・適切な治療を目指し、今後、アスリートのみならず、指導者、保護者にも活用していただくことを目指していきます。会場では「アスリートの貧血対処7か条」の文面が配付、これを参加者全員で確認し、宣言されました。

閉会の挨拶 田口素子氏(医事委員)

「25~26年前に実業団の栄養士をしていた頃、当時の成分表で計算して1000mg程度のカルシウムを摂取しても疲労骨折をする選手がおり、若い頃からのカルシウム摂取が重要であると考える。また2014年からエネルギー不足により男子においても骨密度に影響があることがわかっている。栄養サポートをする上で、医学的なことも学びサポートをする必要があるため、これらの知識を現場に持ち帰って、指導に生かして欲しい。」と、今後の各立場での指導への期待を込めて閉会となりました。


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